2019年7月29日月曜日

クライマーズ・ハイ

私の好きな映画の一つにクライマーズハイという映画(2007年)があります。
横山秀夫原作で、横山氏が新聞記者時代に遭遇した日航機123便墜落事故が題材となっています。
(あらすじ)
1985年8月12日、乗員乗客524名を乗せた日航機123便が、群馬と長野の県境に墜落、その一報が北関東新聞社に入る。編集部で全権デスクに任命された悠木和雅(堤真一)は記者として扱う一大ニュースに対する興奮を禁じえないが、中央紙とのスクープ合戦や組織や家族との衝突を経て、命の重さに対しわき上がる使命感を覚える(引用元:シネマトゥデイhttps://www.cinematoday.jp/index.html

映画の終盤、事故の原因が「圧力隔壁の破壊」というスクープをどの新聞社よりも早く手に入れた悠木は、「Ace in the Hole」という、カーク・ダグラス演じる小さな新聞社の初老の編集長の言葉「チェック、ダブルチェック」という言葉を呟きながら、このスクープの裏を取れたのかどうか、記事にすべきかどうかを悩みます。

ここからは個人的な感想ですが、この「チェック、ダブルチェック」という言葉と「クライマーズ・ハイ」という映画のタイトルがとてもうまくリンクしていると感じます。
クライマーズ・ハイという言葉は、ランナーズ・ハイと同様、登山者が、登山中にその疲労感を忘れるほど気分が高揚してくる状態のことを言うらしいのですが(不正確でごめんなさい)、この状態の登山者はスイスイと登って行ってしまうのと同時に、滑落の危険性が高くなります。
「スクープ記事をすっぱ抜ける!」という高揚感のあまり、記者として鉄則の「裏取り」をせず、誤報を飛ばすことだけはしない。。。「クライマーズ・ハイ」という映画は、熱気溢れながらも事故により疲労困憊した記者デスクの中で繰り広げられるプロ同士の人間模様をよく描いており、邦画の中でも私の一番好きな映画です。

弁護士としても、困難事案に遭遇した時、状況を打破できる一筋の光が見えるときがありますが、その時には「ダブルチェック」。飛びつかずにもう一度、理屈を再構成することが大事ですね。

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